規 矩 準 縄

森本建築のスタッフが日常をお届けしています(^^♪

2018年02月

ようやく春らしい、暖かい日差しを感じるようになりました。

先日は本郷へ、生け花のお稽古に行ってきました。
花材はサンシュユ(山茱萸)。
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早春を代表する花木のひとつで、この時期は黄色い小さな花を咲かせ、秋にはグミのような実がなります。


花のある部屋と花のない部屋にいる人の神経活動を比較したとき、花のある部屋で過ごす人は、交感神経の活動が25%抑えられ、副交感神経の活動が29%高まるという研究結果が出ています。
生花には、わたしたちのストレスを緩和しリラックスさせてくれる効果があるようです。


難しいアレンジではなくても、庭に咲いた花一輪でも、家の中に飾ってみると暮らしが少し明るくなるかもしれません。


人が住まない家はあっという間に劣化してしまうと言われます。

日本家屋は木造住宅が多く、木材や畳などが多く使用されているため、空気の入れ替わりが家にとって大変重要です。人が住んでいる家では、窓の開け閉めや換気扇の利用・人の出入りによって、日々自然に空気の入れ替えが行われています。



人の出入りがなく 長期間玄関や窓を締め切った空き家では、湿気が溜まりやすく、カビや木材を劣化させる腐朽菌が繁殖してしまいます。最近の家は気密性に優れているため梅雨の時期や夏場は特に湿気が溜まりやすい状態になります。


また、長期にわたって使われない排水管は錆びついて破損しやすくなります。通水を行わないでいると、排水トラップの水が蒸発して下水の悪臭が上がってくる恐れもあります。



このまま放置すると雨漏りや壁などのひび割れが起き、構造部がさらに腐り、動物が侵入したりと、家はどんどん朽ちていってしまいます。



こうした空き家が増え続ける一方で、最近では空き家活用のニュースもたくさん耳にするようになりました。


ここ若狭地方でも、空き家が福祉施設やシェアオフィス、古民家カフェといった地域の人の交流の場に生まれ変わったりと、個々の住まい以外にも様々な活用のされ方をしています。


今年度は3月におおい町にて空き家見学ツアーを開催します。
町内の空き家をバスでめぐり、実際に家の中を見学していただけるツアーです。
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家をお探しの方、空き家を譲りたい・管理に困っている方にご縁がありますように。




日本書紀の中に「スギとクスノキは舟に、ヒノキは宮殿に、マキは棺に使いなさい。」と書かれています。

ヒノキは昔から宮殿の建設用として最適で最高の材と言われ、現在も神社や仏閣を建てるための木材として使われています。ヒノキは伐採してから200~300年の間 徐々に強度を増していきます。
法隆寺や薬師寺の塔は、1300年経った今も立派に維持されています。



三重県伊勢神宮で20年ごとに社殿を造り替える「式年遷宮」の工事には1万本ものヒノキの良材が使われるそうです。

木材の伐り出しに始まり、製材、乾燥、刻み、建て方と、かかる歳月は約8年!
建築技法は昔から変わることなく、木材は大工が手刻みで加工します。

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では、式年遷宮で解体された旧社殿の柱や鳥居などの行方は…?

選び抜かれた良質な材料、まだまだ強度にも優れているので、そのほとんどが再利用されます。
全国の神社に譲渡されて建物の修復に使われています。
「再生」「循環」しながら、古材は生き続けています。


次回、第63回神宮式年遷宮は2033年。
昨年10月に斧入式が行われ、すでに準備は始まっています。

「古い家のない町は 思い出のない人と同じだ」


これは、日本人画家・東山魁夷の残した言葉であり、 20年以上もの間 日本の古民家再生に携わっているドイツ人建築家のカール・ベンクスさんが大切にしている言葉です。

カールさんは日本の伝統的建築文化の維持や、過疎で衰退した村を復活させたことが評価され、2016年度に「ふるさとづくり大賞(内閣総理大臣賞)」をご夫婦で受賞されました。



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▲カールさんの手掛けたレストラン「澁い」


ドイツには "Fachwerkhaus " と呼ばれる、伝統的な木組みの建築様式があります。
カールさんの古民家は、ドイツの文化と日本の文化が融合したような、不思議な魅力があるように感じられます。



新しいもの・便利なものがどんどん生み出される時代です。
しかし壊したものは簡単には戻りません。
古民家の継承も、古民家を再生できる若い職人の育成も この日本に必要なことです。

自然界は「ゆらぎ」でできていると言われています。



川のせせらぎ、波の音、ろうそくの炎の揺らめく様、木漏れ日や心臓の鼓動。
自然が生みだす、「規則的なようで不規則」なリズムのことを「1/fゆらぎ」と呼びます。

この「1/fゆらぎ」は人間の脳に癒しや心地良さを与える効果があります。



木の木目や年輪も「1/fゆらぎ」にあたります。
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ぼんやり眺めているだけで、なぜだかわからないけどなんとなく落ち着く…
人間の手では造り出せないリズムです。

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(写真:おおい町本郷T様邸より)






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