規 矩 準 縄

森本建築のスタッフが日常をお届けしています(^^♪



日本書紀の中に「スギとクスノキは舟に、ヒノキは宮殿に、マキは棺に使いなさい。」と書かれています。

ヒノキは昔から宮殿の建設用として最適で最高の材と言われ、現在も神社や仏閣を建てるための木材として使われています。ヒノキは伐採してから200~300年の間 徐々に強度を増していきます。
法隆寺や薬師寺の塔は、1300年経った今も立派に維持されています。



三重県伊勢神宮で20年ごとに社殿を造り替える「式年遷宮」の工事には1万本ものヒノキの良材が使われるそうです。

木材の伐り出しに始まり、製材、乾燥、刻み、建て方と、かかる歳月は約8年!
建築技法は昔から変わることなく、木材は大工が手刻みで加工します。

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では、式年遷宮で解体された旧社殿の柱や鳥居などの行方は…?

選び抜かれた良質な材料、まだまだ強度にも優れているので、そのほとんどが再利用されます。
全国の神社に譲渡されて建物の修復に使われています。
「再生」「循環」しながら、古材は生き続けています。


次回、第63回神宮式年遷宮は2033年。
昨年10月に斧入式が行われ、すでに準備は始まっています。

「古い家のない町は 思い出のない人と同じだ」


これは、日本人画家・東山魁夷の残した言葉であり、 20年以上もの間 日本の古民家再生に携わっているドイツ人建築家のカール・ベンクスさんが大切にしている言葉です。

カールさんは日本の伝統的建築文化の維持や、過疎で衰退した村を復活させたことが評価され、2016年度に「ふるさとづくり大賞(内閣総理大臣賞)」をご夫婦で受賞されました。



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▲カールさんの手掛けたレストラン「澁い」


ドイツには "Fachwerkhaus " と呼ばれる、伝統的な木組みの建築様式があります。
カールさんの古民家は、ドイツの文化と日本の文化が融合したような、不思議な魅力があるように感じられます。



新しいもの・便利なものがどんどん生み出される時代です。
しかし壊したものは簡単には戻りません。
古民家の継承も、古民家を再生できる若い職人の育成も この日本に必要なことです。

自然界は「ゆらぎ」でできていると言われています。



川のせせらぎ、波の音、ろうそくの炎の揺らめく様、木漏れ日や心臓の鼓動。
自然が生みだす、「規則的なようで不規則」なリズムのことを「1/fゆらぎ」と呼びます。

この「1/fゆらぎ」は人間の脳に癒しや心地良さを与える効果があります。



木の木目や年輪も「1/fゆらぎ」にあたります。
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ぼんやり眺めているだけで、なぜだかわからないけどなんとなく落ち着く…
人間の手では造り出せないリズムです。

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(写真:おおい町本郷T様邸より)






西の鯖街道で繋がっている、お隣美山町は「かやぶきの里」として知られています。

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茅という植物はなく、屋根を葺く草の総称のことです。
すすき、葦(ヨシ)、かりやす、かるかや、しまがや、ちがや などのイネ科の多年草が使われます。

茅葺きの家は、夏は涼しく冬は暖かく、吸音性もあり静かという特徴があります。


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屋根の葺き替えは定期的に行われ、昔は村人たちの相互扶助による共同作業で行われていました。
また、葺き替えで不要となった古い茅は肥料として再利用され、無駄のないエコな建築材料でもありました。


茅葺き屋根の文化は、日本だけではありません。

オランダにも
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イギリスにも
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茅葺きの住宅があります。

日本の住宅は木の文化ですが、ヨーロッパは石の文化ですね。


フランスのブリエール地方自然公園には3,000もの茅葺屋根の建物が残っているそうです。
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茅葺き屋根の住宅については
「補修しながら維持するのでお金がかかる」
「この地方の建築様式で窓が小さくて室内が暗いので、住みにくい」
というような否定的な声もあるそうですが、ここの建築家たちは 現代の生活に支障がないように伝統的な家屋を保存する方法・住民たちに納得してもらえる方法を模索しながら茅葺き文化・伝統的な景観を守っているそうです。


最後に、この地方の茅葺き職人さんの、葺き替え作業の様子をひとつ。





山形県寒河江市に、ちょっと変わった畳をつくっている職人さんがおられます。

畳は平らで長方形 という“当たり前”をくつがえすような、その名も【いぐさロール】
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私達がよく知っている一般的な畳の幅は約3尺、約90cm。
この幅を織り上げるには、それよりも長い約110cm~160cmのい草が必要になります。

い草は田んぼで栽培されるのですが、農作物ですので、刈り取った中には畳にするは長さが足りないい草も出てきます。
モノはいいのに使い道のないい草を捨てるのではなく、有効活用しようということで生まれたのがこの【い草ロール】なのだそうです。


材料を無駄にしない心。
日本の文化、技術を新しい発想でカタチにしています。

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